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キャッチャーのミットがバッターのバットに当たり、バッターが一塁へ歩いていく。野球中継でたまに見かける「打撃妨害」の場面です。でも、そのあいだに打球が飛んでランナーがホームインしていたら、どうなるのでしょうか。MLBが公開している2026年版の公式規則書(Official Baseball Rules)で、打撃妨害のルールを確かめました。
この記事では、MLB(メジャーリーグベースボール)の「2026 Official Baseball Rules」(公式の野球規則書、英語版PDF)のRule 5.05(b)(3)、Rule 6.01(c)とその注釈、Rule 6.01(g)、Rule 9.02(a)(1)(D)、Rule 9.16(a)をもとに、打撃妨害について5つのポイントで整理します。後半の、打撃妨害の場面を観るときに注目したいことは、この記事の提案です。
※この記事は、2026年10月時点でMLB(メジャーリーグベースボール)の「2026 Official Baseball Rules」(公式の野球規則書、英語版PDF)に掲載されている内容をもとにしています。この記事は、MLBの「2026 Official Baseball Rules」(英語版PDF)の条文を日本語にまとめたものです。日本のプロ野球やアマチュアの試合では、公認野球規則や各連盟の規定もあわせて確かめてください。訳は意味をとったもので、正式な訳文ではありません。
打撃妨害とは
規則での名前
規則書では「Catcher Interference」(Rule 6.01(c))という見出しで書かれています。
誰の妨害?
キャッチャー、またはほかの野手がバッターを妨害したときのルールです。
守備側の妨害
Rule 6.01(b)の注釈では、守備側の妨害(defensive interference)は、野手がバッターの打撃を妨げたり、できなくしたりする行為だと説明されています。
打撃妨害 5つのポイント
1. バッターは一塁へ
アウトにされる心配なく一塁が与えられます。
2. 監督が選べる
プレーが続いたときは、結果を取ることもできます。
3. 全員進めばそのまま
一定の条件ではプレーがそのまま生かされます。
4. 投球前はやり直し
投球前の妨害は打撃妨害になりません。
5. 打数に数えない
記録では打数に入りません。
5つのポイント早見表
| ポイント | MLB(メジャーリーグベースボール)の「2026 Official Baseball Rules」(公式の野球規則書、英語版PDF)の案内 |
|---|---|
| バッターは一塁へ | 一塁が与えられる |
| 監督が選べる | 監督の選択 |
| 全員進めばそのまま | プレーが生きる場合 |
| 投球前はやり直し | 投球前 |
| 打数に数えない | 記録 |
バッターは一塁へ進める
条文
Rule 6.01(c)では、キャッチャーやほかの野手がバッターを妨害したとき、バッターは走者となり、アウトにされるおそれなく一塁が与えられると書かれています。
一塁を踏む
ただし、一塁に進んで一塁を踏むことが条件とされています(provided he advances to and touches first base)。
Rule 5.05(b)(3)
バッターが走者になる場合を並べた Rule 5.05(b)(3) にも、同じ内容が書かれています。
監督が「プレーを取る」ことができる
選べる
妨害のあとにプレーが続いた場合、攻撃側の監督は、妨害のペナルティを断ってプレーを受け入れることを球審に伝えられるとされています。
タイミング
この選択は、プレーが終わった直後にしなければならないと書かれています。
審判はプレーを続けさせる
注釈では、プレー中に打撃妨害が宣告されても、監督がプレーを取るかもしれないので、審判はプレーを続けさせると説明されています。
規則書に載っている2つの例
例1 犠牲フライ
三塁にランナー、1アウト。バッターが外野へフライを打ち、ランナーがホームインしたが、打撃妨害が宣告された場合。監督は、1点を取ってバッターをアウトにするか、ランナーを三塁に残してバッターを一塁に出すかを選べるとされています。
例2 バント
二塁にランナー。バントの打球でランナーが三塁へ進んだが、キャッチャーが妨害した場合。監督は、一・二塁よりも、1アウトで三塁にランナーがいるほうを選ぶこともあるとされています。
| 場面 | 妨害のペナルティを取る | プレーを取る |
|---|---|---|
| 例1(三塁走者・外野フライ) | ランナー三塁、バッター一塁 | 1点、バッターはアウト |
| 例2(二塁走者・バント) | ランナー二塁、バッター一塁 | ランナー三塁、1アウト |
プレーがそのまま生きる場合
条件
バッターが安打、失策、四球、死球などで一塁に達し、ほかのランナーも全員が少なくとも1つ進んだ場合は、妨害とは関係なくプレーが進むとされています。
選ぶ必要がない
この場合は、監督の選択を待たずにプレーがそのまま生かされます。
塁を踏み忘れたら
注釈では、バッターランナーが一塁を、またはランナーが次の塁を踏み損ねても、その塁に達したものとみなすと書かれています(Rule 5.06(b)(3)(D)の注)。
投球前の妨害はやり直し
投球前
注釈では、ピッチャーが投球する前にキャッチャーがバッターを妨害した場合は、打撃妨害とはしないと書かれています。
タイム
この場合、球審は「タイム」を宣告し、ピッチャーとバッターは最初からやり直すとされています。
注意点
「ミットとバットが当たった」という場面でも、投球の前か後かで扱いが変わることになります。
スクイズやホームスチールでの妨害
Rule 6.01(g)
三塁ランナーがスクイズまたは盗塁でホームを狙っているときの妨害について、別の条文があります。
どんな行為?
キャッチャーやほかの野手が、ボールを持たずにホームベースの上や前に出たり、バッターやバットに触れたりした場合です。
ペナルティ
ピッチャーにボークが科され、バッターは妨害により一塁が与えられ、ボールデッドになるとされています。
| 項目 | 通常の打撃妨害(6.01(c)) | スクイズ・本盗時(6.01(g)) |
|---|---|---|
| バッター | 一塁が与えられる | 一塁が与えられる |
| ピッチャー | ― | ボークが科される |
| ボール | 監督の選択などあり | ボールデッド |
記録での扱い
打数に数えない
Rule 9.02(a)(1)(D)では、妨害や走塁妨害などで一塁が与えられた場合は、打数に数えないとされています。
打席には数える
打率のランキングに必要な打席数の数え方では、妨害で一塁を得た回数も含めると書かれています。
自責点
Rule 9.16では、自責点を考えるときに打撃妨害は失策(errors)から除くと書かれています。
自責点の考え方
ふつうの失策
2アウトから失策で出塁し、次のバッターがホームランを打った場合、失策がなければ3アウトだったので、2点とも自責点にならないとされています。
打撃妨害
2アウトから打撃妨害で出塁し、次のバッターがホームランを打った場合は、2点のうち1点(ホームランを打ったバッターの分)が自責点になると説明されています。
理由
打撃妨害で出塁したバッターは打席を終えていないので、妨害がなければアウトになったとは考えられないからだとされています。
出塁したランナー
ただし、打撃妨害で出塁したランナーがホームインしても、その得点は自責点にならないと書かれています。
バッターの側の妨害との違い
守備妨害
規則書には、バッターがキャッチャーを妨害してアウトになる場合も書かれています(Rule 9.09(b)(5)の記録の例など)。
逆の立場
打撃妨害はキャッチャーや野手がバッターを妨げるもの、守備妨害はバッターやランナーが守備を妨げるもので、向きが反対です。
一塁を踏まない場合
打撃妨害で一塁を与えられたのに一塁に触れるのを拒んだバッターがアウトになる場合も、記録の規則に書かれています。
打撃妨害の場面を観るときに注目したいこと
ここからは、MLB(メジャーリーグベースボール)の「2026 Official Baseball Rules」(公式の野球規則書、英語版PDF)の案内をもとにした、この記事の提案です。
ここで挙げるのは、規則書の条文をもとにした観戦のポイントの例です。
投球の前か後か
ミットとバットが当たったのが投球の前か後かを見ます。
プレーの続き
妨害のあとに打球が飛んだら、ランナーが全員進んだかを見ます。
監督の動き
プレーのあと、監督が球審に何かを伝えるかに注目します。どちらを選んだかで、スコアボードの得点やアウトカウントが変わることがあります。
三塁ランナー
スクイズや本盗の場面なら、ボークもつくかどうかを見ます。
よくある質問
打撃妨害でバッターはどうなる?
アウトにされるおそれなく一塁が与えられます。一塁を踏むことが条件です。
プレーの結果を取ることはできる?
攻撃側の監督は、プレーが終わった直後に、ペナルティを断ってプレーを受け入れると伝えられるとされています。
投球前にミットが当たったら?
打撃妨害とはせず、タイムをかけてやり直すとされています。
打率に影響する?
打数には数えないとされています。
スクイズのときは?
ピッチャーにボークが科され、バッターに一塁が与えられ、ボールデッドになります。
監督が選ぶのはいつ?
プレーが終わった直後です。規則書では、選択はプレーの終わりにすぐ行わなければならないとされています。
自責点になる?
打撃妨害で出塁したランナーの得点は自責点になりませんが、そのあとのバッターの得点は自責点になる場合があると説明されています。
日本の試合でも同じ?
この記事はMLBの規則書をもとにしています。日本の試合では公認野球規則や各連盟の規定を確かめてください。
打撃妨害は「一塁が与えられる」だけではない
打撃妨害では、バッターに一塁が与えられるのが基本です。そのうえで、プレーが続いたときの監督の選択、全員が進んだときのそのままのプレー、投球前のやり直し、スクイズ時のボークと、場面ごとの決まりがあります。中継で見かけたら、どの決まりが使われたかを考えてみてください。