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野球の試合を見ていて、内野に高いフライが上がったとたん、審判が空を指さして何かをコールする場面を見たことはありませんか。それが「インフィールドフライ」の宣告です。
『ドカベン』のような野球漫画を読んでいても、試合の中でルールが大きな意味を持つ場面が出てきますよね。インフィールドフライは、名前は聞いたことがあっても、「どんなときに宣告されるの?」「ボールが落ちたらどうなるの?」と疑問に思いやすいルールのひとつです。
この記事では、公認野球規則の定義を紹介している解説記事などで確認できた内容をもとに、インフィールドフライが宣告される3つの条件と、ルールの目的、宣告されたあとの走者の動き方を整理しました。よく似た「故意落球」との違いもあわせてご紹介します。
※ルールの細かな運用は、大会や連盟によって異なる場合があります。実際の試合では、その大会の規則や審判の判断に従ってください。
インフィールドフライとは?
公認野球規則での定義
インフィールドフライは、公認野球規則の「本規則における用語の定義」の40で定められています。スポーティングニュースやTHE ANSWERの解説記事では、その定義が次のように紹介されています。
「0アウトまたは1アウトで、走者が一・二塁、一・二・三塁にあるとき、打者が打った飛球(ライナーおよびバントを企てて飛球となったものを除く)で、内野手が普通の守備行為をすれば、捕球できるものをいう」
少し難しい言葉が並んでいますが、ポイントを押さえれば、それほど複雑なルールではありません。
投手・捕手・外野手が捕っても対象になる
THE ANSWERの解説記事では、同じ規則に「この場合、投手、捕手および外野手が、内野で前記の飛球に対して守備したときは、内野手と同様に扱う」とも書かれていると紹介されています。
また、規則の適用は「内野手が普通の守備行為をすれば捕球できるかどうか」を基準とするため、飛球が外野手などによって処理されても、内野手によって容易に捕球されるはずだったと審判員が判断すれば、インフィールドフライとされるべきだと記載されている、とも説明されています。
「インフィールド(内野)」という名前がついていますが、打球が落ちる場所ではなく、「内野手が普通に捕れるかどうか」で判断されるルールなのですね。
インフィールドフライが宣告される3つの条件
インフィールドフライの定義を整理すると、次の3つの条件がそろったときに宣告されることになります。
1. アウトカウントが無死(0アウト)または一死(1アウト)
1つ目の条件は、アウトカウントです。0アウトまたは1アウトのときに限られます。2アウトのときは、インフィールドフライは適用されません。
Wikipediaの「インフィールドフライ」の項目では、二死の場合は、守備側が飛球を捕球すれば三死で攻守交代となるため、意図的に捕球しないことによる守備側の利益も、攻撃側の不利益もないと説明されています。
2. 走者が一・二塁または満塁
2つ目の条件は、走者の状況です。走者が一・二塁にいるとき、または一・二・三塁(満塁)にいるときに限られます。
走者が一塁だけのときや、一・三塁のとき、二塁や三塁だけのときは適用されません。この理由は、のちほど「ルールの目的」でご紹介します。
3. 打者がフェアの飛球を打ち上げ、内野手が普通に捕れる
3つ目の条件は、打球の種類です。打者が打った飛球で、内野手が普通の守備行為をすれば捕球できるものが対象です。
ただし、ライナーの打球や、バントを企てて飛球になったものは除かれます。条件がそろっていても、ライナーやバントのフライには適用されない点に気をつけましょう。
3つの条件を表にまとめると、次のとおりです。
| 条件 | 内容 | 適用されない例 |
|---|---|---|
| アウトカウント | 無死または一死 | 二死 |
| 走者 | 一・二塁または満塁 | 走者一塁、一・三塁、二塁、三塁、二・三塁 |
| 打球 | 内野手が普通に捕れるフェアの飛球 | ライナー、バントの飛球 |
場面の例で確認してみよう
たとえば「一死満塁で、打者が二塁手の真上に高いフライを打ち上げた」場面を考えてみます。アウトカウントは一死、走者は満塁、打球は内野手が普通に捕れるフライなので、3つの条件がそろっています。この場合は、審判がインフィールドフライを宣告すると考えられます。
一方、「二死満塁で同じフライ」の場合は、アウトカウントの条件に当てはまらないので、インフィールドフライにはなりません。また「一死一塁で同じフライ」の場合も、走者の条件に当てはまらないので適用されません。
インフィールドフライのルールの目的は?
わざと落として併殺を取ることを防ぐ
THE ANSWERの解説記事では、インフィールドフライは「攻撃側が不当な不利益を受けることをなくす意味がある」と紹介されています。
たとえば、無死一・二塁で内野フライが打ち上がったとします。走者は、フライが捕球されたときには帰塁する必要があるため、簡単には塁を離れられません。ここで守備側がわざと打球をグラウンドに落とすと、走者には次の塁へ進む義務(フォースの状態)が生じます。そのまま三塁、二塁と続けて送球すれば、併殺を取ることができてしまいます。
つまり、このルールがないと、フライを意図的に捕らないことで、普通に捕球したときよりも多くのアウトを取れてしまうのです。こうした攻撃側の不当な不利益をなくすために、インフィールドフライが定められました。
走者一塁や一・三塁で適用されない理由
Wikipediaの「インフィールドフライ」の項目では、無死または一死で走者一塁、または一・三塁の場合は、野手が落球してもフォースの状態にある走者は一塁走者のみで、打者走者が一塁への全力の走塁を怠らない限り、フォースの状態を悪用した併殺は起こりえないと説明されています。
また、走者が二塁だけ、三塁だけ、二・三塁のときは、フォースの状態の走者がいないので、野手が落球しても、フォースプレイを悪用した併殺は起こらないとされています。
条件が「一・二塁または満塁」に限られているのは、わざと落球したときに複数のアウトを取られてしまうおそれがある場面だから、と考えるとわかりやすいですね。
インフィールドフライが宣告されたらどうなる?
打者はアウトになる
THE ANSWERの解説記事では、公認野球規則5.09(a)(12)を引用して、インフィールドフライが宣告されると打者はアウトになると紹介されています。スポーティングニュースの解説記事でも、フライが捕球されずにグラウンドに落ちた場合でも、打者はアウトになると説明されています。
ボールインプレイなので試合は続く
インフィールドフライが宣告されても、ボールデッドにはなりません。THE ANSWERの解説記事では、公認野球規則の定義に「インフィールドフライが宣告されてもボールインプレイであるから、走者は離塁しても進塁してもよいが、その飛球が捕らえられれば、リタッチの義務が生じ、これを果たさなかった場合には、普通のフライと同様、アウトにされるおそれがある」と記載されていると紹介されています。
走者の動き方を整理すると
宣告されたあとの走者の動き方を、打球が捕球されたかどうかで整理すると、次のようになります。
| 打球の結果 | 打者 | 走者 |
|---|---|---|
| 捕球された | アウト | 普通のフライと同じくリタッチの義務がある。タッチアップで進塁を狙うこともできる |
| 捕球されずに落ちた | アウト | 進塁の義務はない。リタッチせずに進塁してもよいが、アウトになる危険もある |
打球が落ちたときに、走者が「フォースの状態だ」と勘違いして次の塁へ走ってしまうと、タッチされてアウトになることがあります。宣告に気づかずに走ってしまうと危ない、というのがこのルールの注意点ですね。
「インフィールドフライ・イフ・フェア」とは
THE ANSWERの解説記事では、公認野球規則の定義に、打球がベースラインの近くに上がった場合には「インフィールドフライ・イフ・フェア」を宣告すると書かれていると紹介されています。フェアになればインフィールドフライ、ファウルになれば普通のファウルとして扱われる、という意味です。
インフィールドフライと故意落球の違い
わざと落球して併殺を取ることを防ぐルールには、インフィールドフライのほかに「故意落球」があります。Wikipediaの「インフィールドフライ」の項目では、両者の違いが次のように説明されています。
| 項目 | インフィールドフライ | 故意落球 |
|---|---|---|
| 走者の条件 | 一・二塁または満塁 | 走者が一塁にいれば適用される |
| 打球の種類 | ライナーやバントの飛球には適用されない | ライナーやバントでも適用される |
| 適用のタイミング | 野手が打球に触れる前に宣告される | インフライトで触れて初めて適用される |
| ボールデッドになるか | ならない | なる |
どちらも「守備側がわざと捕らないことで有利になる」のを防ぐためのルールですが、適用される場面や、宣告されたあとの扱いが違います。試合を見るときは、審判のコールやジェスチャーにも注目してみてください。
インフィールドフライでよくある質問
インフィールドフライはアピールしないと適用されない?
Wikipediaの「インフィールドフライ」の項目では、打球がインフィールドフライかどうかは、審判員の判断によってのみ決定されると説明されています。審判員がインフィールドフライと判断しなかった打球が、選手からのアピールによってくつがえることはないそうです。
審判はどうやって宣告するの?
同じ項目では、判断した審判員は、ただちに上空を指さして「インフィールドフライ」とコールし、続いてアウトのジェスチャーとともに「バッターアウト」をコールすると紹介されています。宣告の権限はすべての審判員に同等に与えられていて、1人でも宣告すればルールが適用されるそうです。
審判が胸に手を当てているのはなぜ?
Wikipediaの項目では、インフィールドフライの適用条件がそろっているとき、審判員は投手の投球前に、条件がそろっていることを相互に確認し、全員が胸に手を当てることで確認すると紹介されています。試合中に審判が胸に手を当てていたら、インフィールドフライの条件がそろった場面かもしれません。
宣告されたあとに取り消されることはある?
同じ項目では、最終的に投手、捕手、外野手によって捕球されたとしても、一度なされたインフィールドフライの宣告が取り消されることはないと説明されています。
インフィールドフライを知ると試合がもっと面白くなる
インフィールドフライについて、もう一度まとめておきます。
- 無死または一死、走者一・二塁または満塁、内野手が普通に捕れるフェアの飛球、の3つの条件で宣告される
- ライナーやバントの飛球には適用されない
- 目的は、わざと落球して併殺を取ることを防ぎ、攻撃側の不当な不利益をなくすこと
- 宣告されると打者はアウト。ボールインプレイなので走者は進塁してもよいが、捕球されたらリタッチが必要
- 故意落球とは、走者の条件や打球の種類、ボールデッドになるかどうかが違う
一見ややこしいルールですが、「わざと落として得をさせないためのルール」と覚えておくと、ぐっと理解しやすくなります。野球中継や野球漫画で内野に高いフライが上がったときは、アウトカウントと走者の状況をチェックしてみてくださいね。